口より無数の光を出だして、 遍く十方国を照らす。
回る光、身を囲繞すること、 三 して頂より入る。
一切の天人衆、 踊躍してみな歓喜せん。
大士観世音、 服を整え稽首して問うて、
仏に白さく、「何に縁りてか笑みたまえる。 唯然なり。願
わくは意を説きたまえ。」
梵の声、雷の震うがごとし。 八音妙響を暢べて、
「当に菩薩に記を授くべし。 今説かん、なんじ、諦に聴け。
十方より来れる正士、 吾、ことごとくかの願いを知る。
厳浄の土を志求し、 受決して当に作仏すべし。
一切の法は、 猶し夢・幻・響のごとしと覚了すれども、
もろもろの妙願を満足して、 必ずかくのごときの刹を成ぜん。
法は電影のごとくなりと知れども、菩薩の道を究竟し、
もろもろの功徳の本を具して、 受決して当に作仏すべし。
諸法の性は、 一切空無我なりと通達すれども、