多くして、自然なることあることなし。勤苦して求欲す。転た相欺紿して、心労し形困しくして、苦を飲み毒を食う。かくのごとく 務して未だ甞にもむしろ息まず。吾、汝等、天・人の類を哀みて苦心に誨喩して教えて善を修せしむ。器に随いて開導して経法を授与するに、承用せざることなし。意の所願にありてみな道を得しむ。仏の遊履したまうところの国邑丘聚、化を蒙らざるはなし。天下和順し日月清明にして、風雨時をもってし災 起こらず。国豊かに民安し。兵戈用いることなし。徳を崇め仁を興し、務礼譲を修す。」仏の言わく、「我、汝等諸天人民を哀愍すること父母の子を念うよりも甚だし。今我この世間において作仏して、五悪を降化し五痛を消除し五焼を絶滅す。善をもって悪を改め、生死の苦を抜きて五徳を獲、無為の安に昇らしめん。吾世を去りて後、経道漸く滅し人民諂偽ならん。また衆悪を為らん。五焼・五痛、還りて前の法のごとくならん。久しくして後、転た劇しからん。ことごとく説くべからず。我但し汝がために略してこれを言うまくのみ」と。仏、弥勒に語りたまわく、「汝等