p.092 仏説観無量寿経 目次 // 前頁 / 次頁

たまうべし。」この語を作し已りて、悲泣雨涙して、はるかに仏に向かいて礼したてまつる。未だ頭を挙げざる頃に、その時に世尊、耆闍崛山にましまして、韋提希の心の所念を知ろしめして、すなわち大目 連および阿難に勅して、空よりして来らしめたまう。仏、耆闍崛山より、王宮に没して出でたまう。時に韋提希、礼し已りて頭を挙げて、世尊釈迦牟尼仏を見たてまつる。身は紫金色にして、百宝の蓮華に坐したまえり。目連は左に侍り、阿難は右にあり。釈梵護世の諸天、虚空の中にありて普く天華を雨りて、もって供養したてまつる。時に韋提希、仏世尊を見たてまつりて、自ら瓔珞を絶ち、身を挙げて地に投ぐ。号泣して仏に向かいて白して言さく、「世尊、我、宿何の罪ありてか、この悪子を生ずる。世尊また何等の因縁ましましてか、提婆達多と共に眷属たる。
唯、願わくは世尊、我がために広く憂悩なき処を説きたまえ。我当に往生すべし。閻浮提・濁悪世をば楽わず。この濁悪処は地獄・餓鬼・畜生盈満して、不善の聚多し。願わくは我、未来に