此の樹の一種の音聲には如かず。葉間には華を生じ、華上には菓有り、皆光明を放ち、化して寶蓋と爲る。一切の佛事、蓋の中に映現す。乃至十方嚴淨の佛土を見んと欲せば、寶樹の間に於て、皆悉く照見す。樹の上に七重の寶網有り。寶網の間に五百億の妙華の宮殿有り、宮殿の中に諸天童子有り。瓔珞光耀して自在に遊樂す。是の如く七寶の諸の樹、世界に周遍す。名華軟草も亦隨處に有りて、柔軟香潔なり。觸るる者は樂を生ず。已上樹相 衆寶の羅網、虚空に彌滿して、諸の寶鈴を懸け、妙法の音を宣ぶ。天華妙色は繽粉として亂墜し、寶衣巖具は旋轉して來下し、鳥の飛びて空より下るが如くに、諸佛に供散したてまつる。又無量の樂器有りて、懸に虚空に處り、鼓せざるに自ら鳴りて、皆妙法を説く。已上虚空 復如意の妙香・塗香・抹香、無量の香、芬馥として世界に遍滿す。若し聞くこと有る者は、塵勞垢習、自然に起らず。凡て地より空に至るまで、宮殿・華樹、一切の万物、皆無量の雜寶の百千種の香を以て、共に合成す。其の香普く十方世界に薰ず。菩薩聞く者は、皆佛行を修す。復彼の國の菩薩・羅漢、諸の衆生等、若し食せんと欲する時は、七寶の机自然に現前し、七寶の鉢には妙味中に滿つ。世間の味に類せず、亦天上の味にも非ず、香美なること比無く、甜酢意に隨ふ。色を見香を聞かば、身心淸潔なり、即ち食し已るに同じくして、色力增長す。事已れば化し去り、時至れば復現ず。又彼の土の衆生、衣服を得んと欲せば、念に隨ひて即ち至る。佛の讃じたまふ所の如く、應法の妙服、自然に身に在り、裁縫・染治・浣濯を求めず。又光明周遍して日・月・燈燭を用ひず、冷暖調和して春秋冬夏有ること無し。自然の德風は、温冷調適し、衆生の身に觸れて、皆快樂を得しむること、譬へば比丘の滅盡三昧を得るが如し。毎日の晨朝に、妙華を吹き散らして佛土に遍滿し、馨香芬烈たり、