常に悪を念い、口に常に悪を言い、身に常に悪を行じて、曾て一善なし。先聖・諸仏の経法を信ぜず。道を行じて度世を得べきことを信ぜず。死して後に神明更りて生ずと信ぜず。善を作りて善を得、悪を為りて悪を得と信ぜず。真人を殺し衆僧を闘乱せんと欲い、父母・兄弟・眷属を害せんと欲う。六親憎み悪みて、それをして死せしめんと願う。かくのごときの世人、心・意倶に然なり。愚痴矇昧にして自ら智慧ありと以うて、生じて従来するところ、死して趣向するところを知らず。仁ならず順ならず。天地に悪逆してその中にして 望僥倖す。長き生を求めんと欲うに、会ず当に死に帰すべし。慈心教誨してそれをして善を念ぜしむ。生死・善悪の趣き自然にこれあることを開示すれども、肯てこれを信ぜず。苦心に与に語れども、その人に益なし。心中閉塞して意開解せず。大命将に終わらんとするに、悔懼交わり至る。予め善を修せず。窮まるに臨みて方に悔ゆ。これを後に悔ゆるに将に何ぞ及ばんや。天地の間に五道分明なり。恢廓窈窕として浩浩茫茫たり。善悪報応し禍福相承けて、身自らこれを当く。誰も代わる