p.075 仏説無量寿経巻下 目次 // 前頁 / 次頁

者なし。数りの自然なるなり。その所行に応いて殃苦命を追いて縦捨を得ることなし。善人は善を行じて、楽より楽に入り明より明に入る。悪人は悪を行じて、苦より苦に入り冥より冥に入る。誰か能く知れる者。独り仏のみ知ろしめせりまくのみ。教語開示すれども信用する者は少なし。生死休まず。悪道絶えず。かくのごときの世人、具さに尽くすべきこと難し。かるがゆえに自然の三塗無量の苦悩あり。その中に展転して世世累劫に出ずる期あることなし。解脱を得難し。痛み言うべからず。これを五つの大悪、五つの痛、五つの焼とす。勤苦かくのごとし。たとえば大火の、人の身を焚焼するがごとし。人、能く中にして心を一つにし意を制し、身を端しくし念を正しくし、言行相副い、作すところ誠を至す。語るところ語のごとく、心口転ぜずして、独りもろもろの善を作りて衆悪を為らざれば、身独り度脱して、その福徳、度世・上天・泥 の道を獲。これを五つの大善とするなり。」
仏、弥勒に告げたまわく、「吾、汝等に語る。この世の五悪、勤苦かくのごとし。五痛、五焼、展転して相生ず。但し衆悪を作し