p.076 仏説無量寿経巻下 目次 // 前頁 / 次頁

て善本を修せず。みなことごとく自然にもろもろの悪趣に入る。あるいはその今世に先ず殃病を被りて、死を求むるに得ず。生を求むるに得ず。罪悪の招くところ、衆に示してこれを見せしむ。身死して行に随いて三悪道に入りて、苦毒無量なり。自ら相 然す。その久しくして後、共に怨結を作すに至りて、小微より起こりて遂に大悪と成る。みな財色に貪着して施恵すること能わざるに由りてなり。痴欲に迫められて心に随いて思想す。煩悩結縛して解け已ることあることなし。己を厚くし利を諍いて省録するところなし。富貴栄華、時に当たりて意を快くす。忍辱すること能わず。務めて善を修せず。威勢幾くもなくして随いてもって磨滅す。身労苦に坐して、久しくして後、大きに劇し。天道施張して自然に糺挙す。綱紀羅網上下相応す。煢煢 として当にその中に入るべし。古今にもこれあり。痛ましきかな、傷むべし。」仏、弥勒に語りたまわく、「世間かくのごとし。仏みなこれを哀みたまいて、威神力をもって、衆悪を摧滅してことごとく善に就けしめたまう。所思を棄捐し経戒を奉持し、道法を受行して違失する