p.083 仏説無量寿経巻下 目次 // 前頁 / 次頁

すなわちかの宮中に内れて繋ぐに金鎖をもってせん。飲食・衣服・床褥・華香・伎楽を供給せんこと、転輪王のごとくして乏少するところなけん。意において云何ぞ。このもろもろの王子、むしろかの処を楽いてんや、いなや」と。対えて曰さく、「いななり。但種種の方便をしてもろもろの大力を求めて自ら免出せんと欲う」と。仏、弥勒に告げたまわく、「このもろもろの衆生もまたまたかくのごとし。仏智を疑惑するをもってのゆえに、かの宮殿に生まれて、刑罰、乃至、一念の悪事あることなし。但し五百歳の中において三宝を見たてまつらず。もろもろの善本を供養し修することを得ず。これをもって苦とす。余の楽しみありといえども、猶しかの処を楽わず。もしこの衆生、その本の罪を識りて深く自ら悔責してかの処を離れんと求めば、すなわち意のごとくなることを得て、無量寿仏の所に往詣して恭敬供養せん。また遍く無量無数の諸余の仏の所に至ることを得て、もろもろの功徳を修せん。弥勒、当に知るべし。それ菩薩ありて疑惑を生ずる者は大利を失すとす。このゆえに応当に明らかに諸仏無上の智慧を信ず