p.090 仏説観無量寿経 目次 // 前頁 / 次頁

世尊を礼して、この言を作さく、「大目 連、これ吾が親友なり。願わくは、慈悲を興して、我に八戒を授けよ」と。時に目 連、鷹隼の飛ぶがごとくして、疾く王の所に至る。日日に、かくのごとくして王に八戒を授く。世尊、また尊者富楼那を遣わして、王のために法を説かしむ。かくのごときの時の間、三七日を経るに、王 蜜を食し、法を聞くことを得るがゆえに、顔色和悦なり。
時に阿闍世、守門の者に問わまく、「父の王、今になお存在せりや」と。時に守門の人、白して言さく、「大王、国の大夫人、身に 蜜を塗り、瓔珞に漿を盛れて、もって王に上む。沙門目連および富楼那、空より来りて、王のために法を説かしむ。禁制すべからず」と。時に阿闍世、この語を聞き已りて、その母を怒りて曰わまく、「我が母はこれ賊なり、賊と伴たり。沙門は悪人なり。幻惑の呪術をもって、この悪王をして多日、死せざらしむ。」すなわち利剣を執りて、その母を害せんとす。時に一の臣あり、名をば月光と曰う。聡明にして多智なり。および耆婆と、王のために、礼を作して白して言さく、「大王、臣聞く、『毘陀論経