摂取の光明みざれども
大悲ものうきことなくて
つねにわが身をてらすなり
<第九首>
弥陀の報土をねがうひと
外儀のすがたはことなりと
本願名号信受して
寤寐にわするることなかれ
<第十首>
極悪深重の衆生は
他の方便さらになし
ひとえに弥陀を称してぞ
浄土にうまるとのべたまう
已上源信大師
源空聖人 不釈文 二十首
<第一首>
本師源空世にいでて
弘願の一乗ひろめつつ
日本一州ことごとく
浄土の機縁あらわれぬ
<第二首>
智慧光のちからより
本師源空あらわれて
浄土真宗をひらきつつ
選択本願のべたまう
<第三首>
善導源信すすむとも
本師源空ひろめずは
片州濁世のともがらは
いかでか真宗をさとらまし
<第四首>
曠劫多生のあいだにも
出離の強縁しらざりき
本師源空いまさずは
このたびむなしくすぎなまし
<第五首>
源空三五のよわいにて
無常のことわりさとりつつ
厭離の素懐をあらわして
菩提のみちにぞいらしめし
<第六首>
源空智行の至徳には
聖道諸宗の師主も
みなもろともに帰せしめて
一心金剛の戒師とす
<第七首>
源空存在せしときに
金色の光明はなたしむ
禅定博陸まのあたり
拝見せしめたまいけり
<第八首>
本師源空の本地をば
世俗のひとびとあいつたえ
綽和尚と称せしめ
あるいは善導としめしけり
<第九首>
源空勢至と示現し
あるいは弥陀と顕現す