p.498 高僧和讃 目次 // 前頁 / 次頁

摂取の光明みざれども
大悲ものうきことなくて
つねにわが身をてらすなり

<第九首>
弥陀の報土をねがうひと
外儀のすがたはことなりと
本願名号信受して
寤寐にわするることなかれ

<第十首>
極悪深重の衆生は
他の方便さらになし
ひとえに弥陀を称してぞ
浄土にうまるとのべたまう
已上源信大師

源空聖人 不釈文 二十首
<第一首>
本師源空世にいでて
弘願の一乗ひろめつつ
日本一州ことごとく
浄土の機縁あらわれぬ

<第二首>
智慧光のちからより
本師源空あらわれて
浄土真宗をひらきつつ
選択本願のべたまう

<第三首>
善導源信すすむとも
本師源空ひろめずは
片州濁世のともがらは
いかでか真宗をさとらまし

<第四首>
曠劫多生のあいだにも
出離の強縁しらざりき
本師源空いまさずは
このたびむなしくすぎなまし

<第五首>
源空三五のよわいにて
無常のことわりさとりつつ
厭離の素懐をあらわして
菩提のみちにぞいらしめし

<第六首>
源空智行の至徳には
聖道諸宗の師主も
みなもろともに帰せしめて
一心金剛の戒師とす

<第七首>
源空存在せしときに
金色の光明はなたしむ
禅定博陸まのあたり
拝見せしめたまいけり

<第八首>
本師源空の本地をば
世俗のひとびとあいつたえ
綽和尚と称せしめ
あるいは善導としめしけり

<第九首>
源空勢至と示現し
あるいは弥陀と顕現す