弥陀の本願ひろまれり
像季末法のこの世には
諸善龍宮にいりたまう
<第四首>
大集経にときたまう
この世は第五の五百年
闘諍堅固なるゆえに
白法隠滞したまえり
<第五首>
数万歳の有情も
果報ようやくおとろえて
二万歳にいたりては
五濁悪世の名をえたり
<第六首>
劫濁のときうつるには
有情ようやく身小なり
五濁悪邪まさるゆえ
毒蛇悪龍のごとくなり
<第七首>
無明煩悩しげくして
塵数のごとく遍満す
愛憎違順することは
高峯岳山にことならず
<第八首>
有情の邪見熾盛にて
叢林棘刺のごとくなり
念仏の信者を疑謗して
破壊瞋毒さかりなり
<第九首>
命濁中夭刹那にて
依正二報滅亡し
背正帰邪まさるゆえ
横にあたをぞおこしける
<第十首>
末法第五の五百年
この世の一切有情の
如来の悲願を信ぜずは
出離その期はなかるべし
<第十一首>
九十五種世をけがす
唯仏一道きよくます
菩提に出到してのみぞ
火宅の利益は自然なる
<第十二首>
五濁の時機いたりては
道俗ともにあらそいて
念仏信ずるひとをみて
疑謗破滅さかりなり
<第十三首>
菩提をうまじきひとはみな
専修念仏にあたをなす
頓教毀滅のしるしには
生死の大海きわもなし
<第十四首>
正法の時機とおもえども
底下の凡愚となれる身は
清浄真実のこころなし
発菩提心いかがせん
<第十五首>
自力聖道の菩提心