p.502 正像末和讃 目次 // 前頁 / 次頁

こころもことばもおよばれず
常没流転の凡愚は
いかでか発起せしむべき

<第十六首>
三恒河沙の諸仏の
出世のみもとにありしとき
大菩提心おこせども
自力かなわで流転せり

<第十七首>
像末五濁の世となりて
釈迦の遺教かくれしむ
弥陀の悲願ひろまりて
念仏往生さかりなり

<第十八首>
超世無上に摂取し
選択五劫思惟して
光明寿命の誓願を
大悲の本としたまえり

<第十九首>
浄土の大菩提心は
願作仏心をすすめしむ
すなわち願作仏心を
度衆生心となづけたり

<第二十首>
度衆生心ということは
弥陀智願の回向なり
回向の信楽うるひとは
大般涅槃をさとるなり

<第二十一首>
如来の回向に帰入して
願作仏心をうるひとは
自力の回向をすてはてて
利益有情はきわもなし

<第二十二首>
弥陀の智願海水に
他力の信水いりぬれば
真実報土のならいにて
煩悩菩提一味なり

<第二十三首>
如来二種の回向を
ふかく信ずるひとはみな
等正覚にいたるゆえ
憶念の心はたえぬなり

<第二十四首>
弥陀智願の回向の
信楽まことにうるひとは
摂取不捨の利益ゆえ
等正覚にいたるなり

<第二十五首>
五十六億七千万
弥勒菩薩はとしをへん
まことの信心うるひとは
このたびさとりをひらくべし

<第二十六首>
念仏往生の願により
等正覚にいたるひと
すなわち弥勒におなじくて
大般涅槃をさとるべし

<第二十七首>
真実信心うるゆえに