p.505 正像末和讃 目次 // 前頁 / 次頁

還相回向の大悲をう
如来の回向なかりせば
浄土の菩提はいかがせん

<第五十二首>
弥陀観音大勢至
大願のふねに乗じてぞ
生死のうみにうかみつつ
有情をよぼうてのせたまう

<第五十三首>
弥陀大悲の誓願を
ふかく信ぜんひとはみな
ねてもさめてもへだてなく
南無阿弥陀仏をとなうべし

<第五十四首>
聖道門のひとはみな
自力の心をむねとして
他力不思議にいりぬれば
義なきを義とすと信知せり

<第五十五首>
釈迦の教法ましませど
修すべき有情のなきゆえに
さとりうるもの末法に
一人もあらじとときたまう

<第五十六首>
三朝浄土の大師等
哀愍摂受したまいて
真実信心すすめしめ
定聚のくらいにいれしめよ

<第五十七首>
他力の信心うるひとを
うやまいおおきによろこべば
すなわちわが親友とぞ
教主世尊はほめたまう

<第五十八首>
如来大悲の恩徳は
身を粉にしても報ずべし
師主知識の恩徳も
ほねをくだきても謝すべし
已上正像末法和讃 五十八首

<第一首>
不了仏智のしるしには
如来の諸智を疑惑して
罪福信じ善本を
たのめば辺地にとまるなり

<第二首>
仏智の不思議をうたがいて
自力の称念このむゆえ
辺地懈慢にとどまりて
仏恩報ずるこころなし

<第三首>
罪福信ずる行者は
仏智の不思議をうたがいて
疑城胎宮にとどまれば
三宝にはなれたてまつる

<第四首>
仏智疑惑のつみにより
懈慢辺地にとまるなり
疑惑のつみのふかきゆえ
年歳劫数をふるととく