p.507 正像末和讃 目次 // 前頁 / 次頁

<第十七首>
ときに慈氏菩薩の
世尊にもうしたまいけり
何因何縁いかなれば
胎生化生となづけたる

<第十八首>
如来慈氏にのたまわく
疑惑の心をもちながら
善本修するをたのみにて
胎生辺地にとどまれり

<第十九首>
仏智疑惑のつみゆえに
五百歳まで牢獄に
かたくいましめおわします
これを胎生とときたまう

<第二十首>
仏智不思議をうたがいて
罪福信ずる有情は
宮殿にかならずうまるれば
胎生のものとときたまう

<第二十一首>
自力の心をむねとして
不思議の仏智をたのまねば
胎宮にうまれて五百歳
三宝の慈悲にはなれたり

<第二十二首>
仏智の不思議を疑惑して
罪福信じ善本を
修して浄土をねがうをば
胎生というとときたまう

<第二十三首>
仏智うたがうつみふかし
この心おもいしるならば
くゆるこころをむねとして
仏智の不思議をたのむべし
已上二十三首仏(智)不思議の
弥陀の御ちかいをうたがうつ
みとがをしらせんとあらわせ
るなり
愚禿善信作

皇太子聖徳奉讃
<第一首>
仏智不思議の誓願を
聖徳皇のめぐみにて
正定聚に帰入して
補処の弥勒のごとくなり

<第二首>
救世観音大菩薩
聖徳皇と示現して
多多のごとくすてずして
阿摩のごとくにそいたまう

<第三首>
無始よりこのかたこの世まで
聖徳皇のあわれみに
多多のごとくにそいたまい
阿摩のごとくにおわします