p.203 顕浄土真実行文類二(教行信証・行) 目次 // 前頁 / 次頁

もろの群生海に浮かぶ。福智蔵を円満し、方便蔵を開顕せしむ。良に奉持すべし、特に頂戴すべきなり。
おおよそ誓願について、真実の行信あり、また方便の行信あり。その真実の行願は、諸仏称名の願なり。その真実の信願は、至心信楽の願なり。これすなわち選択本願の行信なり。その機は、すなわち一切善悪大小凡愚なり。往生は、すなわち難思議往生なり。仏土は、すなわち報仏報土なり。これすなわち誓願不可思議、一実真如海なり。『大無量寿経』の宗致、他力真宗の正意なり。
ここをもって知恩報徳のために宗師(曇鸞)の釈を披きたるに言わく、
それ菩薩は仏に帰す。孝子の父母に帰し、忠臣の君后に帰して、動静己にあらず、出没必ず由あるがごとし。恩を知りて徳を報ず、理宜しくまず啓すべし。また所願軽からず、もし如来、威神を加したまわずは将に何をもってか達せんとする。神力を乞加す、このゆえに仰いで告ぐ、と。已上
しかれば大聖の真言に帰し、大祖の解釈に閲して、仏恩の深遠なるを信知して、正信念仏偈を作りて曰わく、