p.204 顕浄土真実行文類二(教行信証・行) |
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無量寿如来に帰命し、 不可思議光に南無したてまつる。
法蔵菩薩の因位の時、 世自在王仏の所にましまして、
諸仏の浄土の因、 国土人天の善悪を覩見して、
無上殊勝の願を建立し、 希有の大弘誓を超発せり。
五劫、これを思惟して摂受す。 重ねて誓うらくは、名声十方に聞こえんと。
あまねく、無量・無辺光、 無碍・無対・光炎王、
清浄・歓喜・智慧光、 不断・難思・無称光、
超日月光を放って、塵刹を照らす。 一切の群生、光照を蒙る。
本願の名号は正定の業なり。 至心信楽の願を因とす。
等覚を成り、大涅槃を証することは、 必至滅度の願成就なり。
如来、世に興出したまうゆえは、 ただ弥陀本願海を説かんとなり。
五濁悪時の群生海、 如来如実の言を信ずべし。
よく一念喜愛の心を発すれば、 煩悩を断ぜずして涅槃を得るなり。
凡聖、逆謗、ひとしく回入すれば、 衆水、海に入りて一味なるがごとし。
摂取の心光、常に照護したまう。 すでによく無明の闇を破すといえども、
貪愛・瞋憎の雲霧、 常に真実信心の天に覆えり。