<第七首>
無碍光仏のひかりには
清浄歓喜智慧光
その徳不可思議にして
十方諸有を利益せり
<第八首>
至心信楽欲生と
十方諸有をすすめてぞ
不思議の誓願あらわして
真実報土の因とする
<第九首>
真実信心うるひとは
すなわち定聚のかずにいる
不退のくらいにいりぬれば
かならず滅度にいたらしむ
<第十首>
弥陀の大悲ふかければ
仏智の不思議をあらわして
変成男子の願をたて
女人成仏ちかいたり
<第十一首>
至心発願欲生と
十方衆生を方便し
衆善の仮門ひらきてぞ
現其人前と願じける
<第十二首>
臨終現前の願により
釈迦は諸善をことごとく
観経一部にあらわして
定散諸機をすすめけり
<第十三首>
諸善万行ことごとく
至心発願せるゆえに
往生浄土の方便の
善とならぬはなかりけり
<第十四首>
至心回向欲生と
十方衆生を方便し
名号の真門ひらきてぞ
不果遂者と願じける
<第十五首>
果遂の願によりてこそ
釈迦は善本徳本を
弥陀経にあらわして
一乗の機をすすめける
<第十六首>
定散自力の称名は
果遂のちかいに帰してこそ
おしえざれども自然に
真如の門に転入する
<第十七首>
安楽浄土をねがいつつ
他力の信をえぬひとは
仏智不思議をうたがいて
辺地懈慢にとまるなり
<第十八首>
如来の興世にあいがたく
諸仏の経道ききがたし
菩薩の勝法きくことも
無量劫にもまれらなり