安楽勧帰のこころざし
鸞師ひとりさだめたり
<第六首>
巍の主勅して并州の
大巌寺にぞおわしける
ようやくおわりにのぞみては
汾州にうつりたまいにき
<第七首>
巍の天子はとうとみて
神鸞とこそ号せしか
おわせしところのその名をば
鸞公厳とぞなづけたる
<第八首>
浄業さかりにすすめつつ
玄忠寺にぞおわしける
巍の興和四年に
遥山寺にこそうつりしか
<第九首>
六十有七ときいたり
浄土の往生とげたまう
そのとき霊瑞不思議にて
一切道俗帰敬しき
<第十首>
君子ひとえにおもくして
勅宣くだしてたちまちに
汾州汾西秦陵の
勝地に霊廟たてたまう
<第十一首>
天親菩薩のみことをも
鸞師ときのべたまわずは
他力広大威徳の
心行いかでかさとらまし
<第十二首>
本願円頓一乗は
逆悪摂すと信知して
煩悩菩提体無二と
すみやかにとくさとらしむ
<第十三首>
いつつの不思議をとくなかに
仏法不思議にしくぞなき
仏法不思議ということは
弥陀の弘誓になづけたり
<第十四首>
弥陀の回向成就して
往相還相ふたつなり
これらの回向によりてこそ
心行ともにえしむなれ
<第十五首>
往相の回向ととくことは
弥陀の方便ときいたり
悲願の信行えしむれば
生死すなわち涅槃なり
<第十六首>
還相の回向ととくことは
利他教化の果をえしめ
すなわち諸有に回入して
普賢の徳を修するなり
<第十七首>
論主の一心ととけるをば
曇鸞大師のみことには