p.493 高僧和讃 目次 // 前頁 / 次頁

煩悩成就のわれらが
他力の信とのべたまう

<第十八首>
尽十方の無碍光は
無明のやみをてらしつつ
一念歓喜するひとを
かならず滅度にいたらしむ

<第十九首>
無碍光の利益より
威徳広大の信をえて
かならず煩悩のこおりとけ
すなわち菩提のみずとなる

<第二十首>
罪障功徳の体となる
こおりとみずのごとくにて
こおりおおきにみずおおし
さわりおおきに徳おおし

<第二十一首>
名号不思議の海水は
逆謗の屍骸もとどまらず
衆悪の万川帰しぬれば
功徳のうしおに一味なり

<第二十二首>
尽十方無碍光の
大悲大願の海水に
煩悩の衆流帰しぬれば
智慧にうしおに一味なり

<第二十三首>
安楽仏国に生ずるは
畢竟成仏の道路にて
無上の方便なりければ
諸仏浄土をすすめけり

<第二十四首>
諸仏三業荘厳して
畢竟平等なることは
衆生虚誑の身口意を
治せんがためとのべたまう

<第二十五首>
安楽仏国にいたるには
無上宝珠の名号と
真実信心ひとつにて
無別道故とときたまう

<第二十六首>
如来清浄本願の
無生の生なりければ
本則三三の品なれど
一二もかわることぞなき

<第二十七首>
無碍光如来の名号と
かの光明智相とは
無明長夜の闇を破し
衆生の志願をみてたまう

<第二十八首>
不如実修行といえること
鸞師釈してのたまわく
一者信心あつからず
若存若亡するゆえに

<第二十九首>
二者信心一ならず
決定なきゆえなれば