三者信心相続せず
余念間故とのべたまう
<第三十首>
三信展転相成す
行者こころをとどむべし
信心あつからざるゆえに
決定の信なかりけり
<第三十一首>
決定の信なきゆえに
念相続せざるなり
念相続せざるゆえ
決定の信をえざるなり
<第三十二首>
決定の信をえざるゆえ
信心不淳とのべたまう
如実修行相応は
信心ひとつにさだめたり
<第三十三首>
万行諸善の小路より
本願一実の大道に
帰入しぬれば涅槃の
さとりはすなわちひらくなり
<第三十四首>
本師曇鸞大師をば
粱の天子蕭王は
おわせしかたにつねにむき
鸞菩薩とぞ礼しける
已上曇鸞和尚
道綽禅師 付釈文 七首
<第一首>
本師道綽禅師は
聖道万行さしおきて
唯有浄土一門を
通入すべきみちととく
<第二首>
本師道綽大師は
涅槃の広業さしおきて
本願他力をたのみつつ
五濁の群生すすめしむ
<第三首>
末法五濁の衆生は
聖道の修行せしむとも
ひとりも証をえじとこそ
教主世尊はときたまえ
<第四首>
鸞師のおしえをうけつたえ
綽和尚はもろともに
在此起心立行は
此是自力とさだめたり
<第五首>
濁世の起悪造罪は
暴風駛雨にことならず
諸仏これらをあわれみて
すすめて浄土に帰せしめり
<第六首>
一形悪をつくれども
専精にこころをかけしめて
つねに念仏せしむれば